ヤンニ・オルソン / 極夜の雪山、オーロラ&極寒の波を狙いに3年ぶりの北欧帰省

ヤンニ・オルソン / 極夜の雪山、オーロラ&極寒の波を狙いに3年ぶりの北欧帰省

ヤンニ・オルソン <プロフィール>

北欧・ スウェーデン出身の女優、タレント、モデル、レポーター、アウトドアコラムニスト。幼いころからの自然好きが高じて、今では「スウェーデンのアウトドアガール」のニックネームで、広く知られている。
北欧のアウトドアシーンについての撮影・取材を受けたり、定期的に雑誌のコラムを執筆するなど活躍の場を広げており、NHKワールドにもレポーターとしてレギュラー出演中。趣味が高じて温泉ソムリエ、サウナ・スパ健康アドバイザーの資格も持つ。
 

「極夜の雪山、オーロラ&極寒の波を狙いに3年ぶりの北欧帰省」

text / ヤンニ・オルソン 

トロムソとはノルウェー北部、いわゆる北極圏にある街です。ここはローカルも観光客も大自然を最大限に楽しめる場所である。そして、私の兄が住んでいる街でもある。

3年ぶりに兄とアウトドアアドベンチャーするためにやってきましたが、この季節だとトナカイぞりや犬ぞり、スノーシューやスキー、クジラサファリやアイス釣り、雪中キャンプなど…この周辺でできるアクティビティーが多すぎてどれにしようか悩む。

悩んだ結果、ローカル達が盛り上がっているというスキーツーリング、そしてサーフィンにした。

サーフィンは暖かい国でやるイメージだが、実は北極圏にも有名なサーフスポットがある。

極寒なので外で着替えることを想像するだけで体が震えるけど・・・・やっぱり気になる!

北極圏まで来たということで、やっぱりオーロラハンティングもやってみないと。一晩でオーロラをつかまえることはできるのか・・その答えは後半に。

 

アークティックサーフィン

 北欧では誰でも使える焚火台があるので、薪を持ってきたら体を温めたりソーセジを焼いたりすることができる。


 

サーフィンという言葉が耳に入ると一番最初に想像するのはおそらく雪国ではないと思うが、北極圏にも良いサーフスポットがある。一番有名なのは「Unstad」というスポットだが、それはロフォーテン諸島、トロムソから車で7時間離れている場所にあるので、今回は時間的に少し厳しい上、ローカルのサーファーとスケジュールが合わなかったので、1人で海に入ることになった。その代わりに、トロムソから1時間の移動でいける景色抜群の優しいビーチブレイクを紹介してもらった。

 

この極寒な環境で海に入り、楽しくサーフィンできるのか。1人でも海に入る勇気があるか。それを知るのが今回の目標。

 

-13度での波チェック。

 

温度は-13度で、波は小さめ。ウエットスーツへ着替えるのは痛いほど寒いけど、着替え終わったら、顔にあたる風以外寒さが気にならない。サーフボードを持ってフィヨルドに出ていくと、とても超現実的な感じがする。周りにサーファー1人もいなく、雪山ばかりがみえている。ピンクや水色の空に夢中になり、初めて1人で北極海に入る不安も忘れていく。ウエットスーツも意外と動きやすく、想像したよりは寒く、怖く、一瞬でバタバタするシナリオにならなかった。なんだ、これだったらもっと大きい波が出るビーチを狙えばよかった。来年はやっぱりUnstadへ行こう。

 

夏のサーフィンも良いが、極夜の北極海サーフィンは神秘的な感じがして、挑戦してみると絶対ハマっちゃう!

 

オーロラハンティング&トナカイ

 

北欧で育ったとはいえ、こんな近くでトナカイを見た人はあまりいない。

 

オーロラハンティングにはせめて一週間が必要と言われていますが、「最近は晴れている日なら、オーロラが出てきますよ」とローカルに言われて、一晩しかないのに探しに行く、という大胆な選択をしてしまった。

 

近くには、観光客がトナカイぞりや北欧の民族「サーミ」の文化に触れ合う体験ができる「Tromsø Arctic Reindeer」という場所がある。しかもトナカイ料理も食べられる注目の観光スポット。私たちは体験には参加しなかったのだが、トナカイとオーロラの写真が撮りたいとスタッフに相談してみたら、中に入れてくれました。ラッキー!

 

中に入っていくとトナカイの大きな群れが自由に動いていた。一瞬焦ったが追いかけられることもなく、とてもおとなしいトナカイたちでした。

 

最近は犬ぞりではなく、トナカイぞりが人気なアクティビティー。

 

オーロラの写真を撮るには、強い光から離れなければならないので、野原の一番遠く暗い所まで行って、カメラをセットする。3時間待った結果・・・オーロラは現れませんでした。やっぱり笑

だが時間の無駄でもない。ただ空を見上げて待っているだけなら寒くて辛い経験になるけど、待つ時間をどう過ごせばいいのかによってオーロラが見られなくても一生の思い出になる。

 

お腹が空いてる時は寒さがさらに酷く感じるので、グローブが付いたまま簡単に食べられるサンドウイッチなどの軽食、または体を温めるようなスパイスが入っているハーブーティーも魔法瓶に入れて持っていくのがおすすめ。焚き火をしているときのように、星空を見上げると不思議に普段話せないことをさらっと話せるので、一緒に行く人と良い絆作りにもなる。

 

兄の一番好きな暇つぶしはヘッドライトを使って、おもしろい写真を撮ることです。ライトで様々な絵を描いていくうちに気づいたら、時間がかなり経っている。

 

  どう?トナカイに似ていますか?



結論。どうしてもオーロラが見たいならせめて一週間あった方がいいが、オーロラが見られなくても、探している間にも楽しい思い出は作れます。犬ぞりや船など、オーロラハンターのプロもいるの

で、そういうツアーに参加してもいいですね。

 

スキーツーリング

 スキーにシールを付けて山頂までハイクアップをしながら周りの景色を楽しんでいく。山頂でゆったりフィーカをしてから滑降する、というのが北欧人気のスキーツーリングスタイル。

 

ノルウェーで人気の冬スポーツスキーツーリング。

 

今は極夜。極夜とは白夜の反対で、昼間でも薄明り、太陽が昇らない現象。

ということは日光が限られています。10-14時の間は薄明、その後は完全なる暗闇になるので、ヘッドライトを付けて滑ることがあるよう。その代わりに昼間の空は美しいサンライズのようなピンクやオレンジに染められています。

 

  北欧のコーヒータイム「フィーカ」。場所はどこでも良いのだが、アウトドアフィーカはやっぱり別格。

 

 

登り始めて1時間後には足がもう重くなってきた。サイクリングや登山はよくやっているとは言え、使う筋肉が違いますね。ペースを落とし始めたら兄に「普段は山頂までフィーカしないよ」と元気よく言われたけど、さすがに⅔程度登ったときにフィーカタイムとなった。

 

北欧人にとってフィーカタイムは不可欠なものです。「Fika (フィーカ)」とは簡単にいうとコーヒーを飲んで甘いものを食べて、いわゆる北欧スタイルのコーヒータイムです。ただ、絆作りや旧交を温めるための大事なツールでもあるし、リラックスするためでもある。

北欧人は休憩なし仕事や勉強をすると効率が落ちると思っているので、職場でも学校でもフィーカタイムがよく取り入れられています。

スポーツやアウトドアアクティビティーをするときもフィーカを挟むことが北欧常識。

 

今回も、もう進めないと思ったら、ノロノロと進むよりフィーカにした。一旦力を抜いて、コーヒーと甘いもので元気を取り戻した。フィーカは何時間でも続く場合もあるが、極夜の時期には時間が惜しいので早めにフィーカを終わらせた。完全に暗くなる前に山頂へ着きたいですからね。

 

子供の頃から大好きなチョコクッキー「Ballerina」。壊れにくいので、スウェーデン人はよくハイキングやスキーする時に持っていく。

 

山頂に着いたら、ずっと見えなかったフィヨルド(峡湾)が目に入ってきた。薄明と雪山とフィヨルド、絵本にでてくる魔法の雪国のように綺麗に映っている。これを見るだけでも登る価値があった。

だが!登山とは違って、ここからはテンポアップ! シールをとって、スキーブーツを固定させて、ヘッドライトを付けて、降り積もったばかりのパウダーを滑り降りる。

 

真っ暗な中、誰も滑ってないパウダーを私たち2人だけで滑降していく。半分怖く半分ドキドキ、この気持ち・・・ハマっちゃいそう。

 

この景色は夜ではなく、午後2時でございます。笑

 

旅の終わり

 

体はパキパキになったけど、素敵なアウトドアの思い出もいっぱいできて、幸せな旅でした。やってみたいことがまだいっぱい残っているので、次の計画を立ててまた行くしかない

 

夏には白夜があって、クライミング、マウンテンバイクやミッドナイトマラソン、気になるアクティビティーいっぱいあるので、夏でも冬でも、どの季節にトロムソを尋ねてもやることがいっぱいですね。

北欧の自然や文化を同時に満喫したいなら、今度ノルウエーのトロムソを尋ねてみてください。きっと一生の旅になります。

 

ブログに戻る