コロナ禍、無観客で実施されたFWTで多数のPeakPerformanceライダーが表彰台に

コロナ禍、無観客で実施されたFWTで多数のPeakPerformanceライダーが表彰台に

Freeride World Tourが日本に入ってきて5年目の節目となる2021年シーズンは、25周年を迎えたFWTにとって異例づくしのシーズンだった。 

 

2021シーズンのFWTは他の多くのスポーツイベントと同様に、コロナ禍による様々な変更を余儀なくされた。2020年11月に発表されたスケジュールからは前シーズンのワールドツアーの会場であった日本の白馬とカナダのキッキングホースが外れており、アンドラ・オーストリア・スイスの3会場のみで5戦を行う特殊なフォーマットでの実施になった。 

 

 ワールドツアーからは外れる事になったものの、白馬で1月に行われたTOYOTIRES FREERIDE HAKUBA 2021は予選シリーズでは最高峰のグレード「4スター」のカテゴリで行われ、日本中からトップスキーヤー・スノーボーダー60名が白馬に集まった。また、予選シリーズのカテゴリでありながら、映像の制作クオリティと配信はFWTと同じレベルで行われ、海外からも多くの視聴者が競技を観戦した。 

 

過去の白馬大会で毎年表彰台に選手を送っているPeakPearformanceチームからは、女子スキーでワイルドカードとして出場した昨シーズンランキング1位の中川未来、男子スキーの梶田アレン、佐々木玄、桑原裕希、古谷大地の5名が出場し、中川が優勝、梶田が3位と好成績を残した。 

 

海外の大会でも多くのPeakPerformanceライダーが表彰台を争っている。今シーズンは女子スキーのElisabeth Gerritzen(スイス)が最終戦のスイス・Verbierで5位から大逆転で初の年間総合ランキング1位を獲得。Hedvig Wessel(スウェーデン)も3位と、昨年の優勝に続き上位でシーズンを終えた。男子スキーでも、1位をKristofer Turdell(スウェーデン)、3位をCarl Regnér Eriksson(スウェーデン)とPeakPearformanceライダーが表彰台に2人立つという快挙を成し遂げた。 

 

 

 

FWTはいま、様々な転換期を迎えていると言って良い。世代交代はその一つであり、過去5-10年間ツアーの顔だったベテラン選手を、徐々に予選シリーズのFWQ(Freeride World Qualifier)での厳しい戦いを勝ち抜いてツアーに参戦している20代前半の若手が勢いで圧倒する滑りを見せることも多くなった。日本でも特にスキーのカテゴリでは若手選手の台頭がめざましく、アライや舞子で行われたFWQでは観客のど肝を抜く滑りを10代~20代の選手が披露した。 

 

映像コンテンツとしても、今年からレーシングドローンを使った映像がこれまでのドローンでは難しかった急降下での選手の追い撮りを可能にし、これまで以上のインパクトで斜面の急峻さや選手のスピードを視聴者に伝えていた。 

 

組織としてのFWTも変わろうとしている。昨今のヨーロッパでの電動MTB(eBike)の爆発的広がりを機会ととらえ、FWTが2019年から実験的に実施してきたeBikeイベントは2022年からFWT大会を実施しているオーストリア、アンドラそしてスイスのVerbierの3カ国で行われる「eBike World Tour」に進化を遂げている。 

 

コロナだけではなく、地球温暖化など地球規模の変化、若い世代のスキーヤーの楽しみ方の変化、それらが絡み合った結果フリーライドシーンがどう変わっていくのかはまだ誰も分からないが、FWTの発信するフリーライドの精神「If you’re having fun, you’re doing it right.」(楽しんでいれば、それが正解だ)はこれからも変わることは無いはずだ。 

Text/ Yoichi Goto

©︎freerideworldtour.com

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