クライマーであり写真家としても活動する高柳傑さんが、東海圏を代表するクライミングエリア「恵那笠置(えなかさぎ)」「瑞浪(みずなみ)」「鳳来(ほうらい)」を巡りました。
普段は北杜市を拠点としている高柳さんにとって、今回のトリップはどのような体験だったのでしょうか。各エリアでのクライミングの様子や、岩場で過ごす時間の魅力、そして今回のトリップで活躍したプロダクトについてのインタビューをお届けします。

Q1. 今回、恵那笠置・瑞浪・鳳来を登りに行った理由を教えてください。
高柳さん:
東海圏でのクライミングは、どちらかというと秋から春にかけてのイメージが強いです。私は冬はアルパインクライミングやスキーをしていてロッククライミングはお休み状態ですし、シーズン始めはどうしても自宅周辺の岩場で遊んでしまうため、これまであまり縁のない場所でした。今回は色々なご縁が重なり、登りに行くことができました。
Q2. それぞれのエリアで、特に印象に残っている岩場・ルート・時間はありますか?
高柳さん:
恵那笠置では『anonymous(アノニマス)』という課題を登りました。木陰でのクライミングだったので比較的涼しく快適に楽しめましたし、岩峰の上からは新緑の里山や街並みを一望でき、私が住んでいる北杜市とは違う新鮮な感覚を味わえました。

鳳来でのクライミングも、強傾斜のクライミングや渋いフェースクライミングなど、普段遊んでいる垂壁主体の花崗岩とは違う独特な岩の形状と遊べた時間でした。

帰り際に立ち寄った瑞浪は、普段登っている花崗岩で馴染み深いものの、エリアが違えばやはり感覚は異なります。時期的に暑すぎてかなり苦戦しましたが、このエリアでポピュラーな課題である『アダム』と『イブ』を共に登ることができ、シーズン序盤にしては上出来でした。



Q3. 今回のクライミングで、一番記憶に残っている瞬間はどんな場面でしたか?
高柳さん:
やはり、まだ見たことのない岩場やルート、そして景色を目にした瞬間でしょうか。同じ日本といえど、自分にとって当たり前の風景とはほんの少し違う「新たなエリア」を見た瞬間です。

移動するたびに少しずつ変わりゆく風景、棚田の雰囲気や街並みのちょっとした違い。これはクライミングでも同じで、新たなエリアやルートにトライするときの新鮮な感覚、高度を上げるたびに見える風景の違いに表れます。視覚情報だけでなく、クライミングにおける動きのちょっとした違い、些細な重心移動で「できる・できない」が変わる発見など、明確に「この瞬間」というよりも、断片的に感じ得たものが今回のトリップでは大切だと感じています。
言語化して明確にするというより、写真や断片的な記憶の良さを感じています。
Q4. 岩場で過ごす一日の中で、登っている時間以外に好きな時間はありますか?
高柳さん:
ロッククライミングは、山登りなどのアクティビティよりも何もしていない時間の方が長いので、色々なことをしています(笑)。
レスト(休息)時間はコーヒーを飲んだり、ルートのオブザベーション(観察)をしたり、友人とおしゃべりしたり。友人との他愛のない会話や、「あーでもない、こーでもない」とお互いがトライしているルートについて話す時間が好きです。ロッククライミングでは同じエリアに一日滞在することも多いので、刻一刻と変わりゆく景色を眺めるのも好きですね。
場合によっては、「太陽がルートに当たってしまうと暑すぎるから早くトライしないと!」なんていうこともあります。

トリップを支えた愛用プロダクト
今回のクライミングトリップで、高柳さんが実際に使用したギア・ウェアの感想も伺いました。


高柳さん:
通常のバックパックより大雑把にものを入れられる点が、開口部の広いダッフルバッグの魅力だと感じました。思っている以上に小分け収納も可能で、クライミングシューズやチョークバッグを別にしておける点も気に入っています。
ショルダーストラップもしっかりしているので、長丁場のアプローチ(岩場までの歩き)がなければこれで十分だと感じました。



高柳さん:
第一印象は「薄い!」でした。標高の低いエリアはもうだいぶ暑いので、できるだけ蒸れない薄い生地というのは、アプローチでもクライミングでも重宝しました。
ストレッチ素材でクライミングのムーブ(動き)の妨げにもならないため、今シーズンの主戦力として使用しています。これからより暑くなる時期には、もっと多用することになるでしょう。


高柳 傑 Suguru Takayanagi Haglöfsアンバサダー
山岳写真家 、クライマー。 1988年生まれ。 日本写真芸術専門学校卒業。 山岳写真家・故青野恭典氏に師事。アルパインクライミング、アイスクライミング、フリークライミング等を行う。 山岳写真家として、各種山岳雑誌等に寄稿。 山梨県在住。



