
LIM ZTⅡ 30 (リム ゼニスⅡ30)¥42,000+税
サイズ:ワンサイズ
容量:30L
ホグロフスの最高峰コレクション「L.I.M ZT 2.0」から生まれたテクニカルパック。不安定な岩場を移動するためのクライミングカテゴリーだが、あらゆる山行にマッチして、スピーディーな収納性とタフさ、軽さを重視したバックパックだ。雲行きがコロコロ変わる天候下でも装備の濡れを気にすることなく、トレイルから岩壁まで場所を選ばず、スピーディーな山行をサポートする。

容量は公表値30ℓだが、ロールトップ構造なので最大45〜50ℓは収納できる。
ソロの1泊2日テント泊装備と、2ℓの水をパッキングしてもまだまだ余裕がある収納力だ。

今回持ち歩いたミニマムな1泊2日のテント泊装備。容量は十分だが、背負い心地はいかに?
右上から時計回りで、スリーピングパッド、水2ℓ、テントポールと本体、ダウンジャケット、コッヘル、ガスバーナー、フリーズドライ2食分、エマージェンシーキットと日用品、着替え、ヘッドライトなど、レインウエア上下、シュラフ。

縦に長いフォルムは、腕の振りを邪魔することなく、重心がブレずにバランスがよい。

生地には耐水性と耐久性に優れたダイニーマ繊維とSpectra ripstopの混紡素材「Dyneema Spectra(ダイニーマ スペクトラ)」を採用し、濡れや摩擦に強い仕様だ。完全防水ではないが、極力縫い目を少なくして、レインカバーを必要としない高い防水性を備える。

ハリがある生地はパリッと立ち上がるので、手を入れやすくパッキングがしやすい。
ボトムから容量30ℓのあたりに、ドローコードで絞り込む仕切りがデザインされている。濡れたウエアやテントを上に入れて仕切れば、ほかの装備が濡れなくて済む。

くるくると巻いて装備を圧縮できるロールトップ構造。バラバラでやわらかい装備は圧縮すればするほど、重心が安定する。必要に応じてパックの容量をすばやく調整できる。

ロールトップ構造は、両サイドのバックルをそれぞれサイドへ固定するのがノーマルだが、このように両サイドのバックルを中央で合わせて固定することもできる。急いでいるときや、短時間で開閉を繰り返すときなどに便利である。

背面パネルは逆U字型のファスナーで大きく開き、装備を収納しやすく、取り出しやすい。厳しい環境下の雪山やバックカントリースキーにも重宝するデザインだ。

両サイドにはドローコードを装備。このようにウエアや手拭いなどを固定して、歩きながら乾かせる。レインウエアの着脱を繰り返す気まぐれな天候時にも重宝するスペックだ。

ショルダーハーネスには、左右それぞれ大きめのストレッチポケットをデザイン。スマートフォンやフラスコ、行動食などをスマートに携行できる。

右のショルダーハーネスには、ストレッチポケットのほか、ファスナーポケットが内側に付属。ヘッドライトやキャップ、エナジーバーなどを紛失する心配なく、いつでも手の届くところに置いておける。

ウエストハーネスは、パッドを排除した太さ3㎝のテープのみ。それゆえに、ほとんどの荷重が2本のショルダーハーネスを介して肩へかかる。だが、走ったり、飛んだりしても、肩にかかる負担は少ない印象だ。その秘密は・・・。

幅広く、適度な伸縮性と通気性を持つショルダーハーネスが体の動きに追従し、さまざまなアクティビティーでストレスのないフィッティングを提供する

フロント上部にある止水ファスナー付きポケット。キーリングが備わり、財布やスマホなどの貴重品を入れられる。

装備を外付けするときに使えるフロントデイジーチェーンが2本。これらは1本のベルトで構成され、トップでグラブハンドルとなる。

雨が侵入しにくいロールトップ構造に加えて、防水素材を用いた雨に強い全天候型。軽さを求めたファストパッキングやトレイルランニングだけでなく、沢登りやバックカントリースキー、雪山登山でも活躍するだろう。

Fidlock 磁気クロージャー付きのピッケルアタッチメントストラップが2つ付く。もちろん、トレッキングポールにも対応する。

開閉する背面パネルにハイドレーションをセットできる。水が背中に吸い付くようなデザインなので、走ってもブレることなく安定して持ち運べる。

装備を上から押さえ込んで、パックに一体感を生むV字型トップコンプレッションベルト。ロープやスリーピングパッドなどを固定できる。

容量を最大約50ℓ(著者調べ)まで大きくできて、重量はわずか650g。できるだけ装備を軽くしてスピーディーに移動したいファストパッキング、スクランブリングなどで真価を発揮するだろう。

光沢のある「Dyneema Spectra(ダイニーマ スペクトラ)」が重厚感を醸し出す。だけど、驚くほど軽い。そのギャップが「リム ゼニスⅡ30」の魅力かもしれない。

垂直方向、水平方向、どちらとも限らずに、天候に左右されることなくランドスケープを楽しみながら、少ないエネルギーで、できるだけ遠くへ。そんな山旅を叶えてくれる相棒となる。
Text:Shinya Moriyama
Photo:Chitose Omori


