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COLUMN:北アルプスを歩くためのレイヤリング実例   by  GRANIX mountain guide 荒川 智

COLUMN:北アルプスを歩くためのレイヤリング実例 by GRANIX mountain guide 荒川 智

こんにちは。

GRANIX mountain guide の荒川 智(あらかわ さとし)です。

今回、6月にホグロフス原宿店で開催した<北アルプス登山プランニング講座 >をベースにしたコラムを書かせていただきます。

早速本題に入っていきます。

 

北アルプスの魅力
なぜ惹かれるのか?>

登山といえば、まず思い浮かぶのは富士山かもしれません。孤高の独立峰としての魅力を持つ富士山や、南アルプス・中央アルプスといった名峰の数々も、もちろん素晴らしい存在です。

一方で、北アルプスは標高3,000m級の山々が連なる雄大な山岳地帯であり、森林限界を超えた広大な視界と、岩・雪・緑が織りなす圧倒的な景観が魅力です。

特に北部エリアは日本海に近く、冬には豊富な雪が降り、スキー・スノーボード・バックカントリーといったアクティビティのメッカとなります。夏には登山シーズンとなり、多くの登山者を迎えていることはご存知の方も多いでしょう。

短い夏の間に咲く高山植物も大きな魅力の一つです。コマクサやチングルマ、ハクサンイチゲなど、厳しい環境でひっそりと咲く花々の姿は、美しくも力強く、多くの登山者の心を打ちます。

(写真/2024年秋のHaglöfs×GRANIX mountain guide 涸沢カールトレッキングイベントのワンシーン/ ちょうど紅葉のはじまりの時期で季節の移ろいを愉しめる)

四季によってもまったく異なる表情を見せます。春の残雪、新緑、夏の花々、秋の紅葉、そして雪に包まれる冬。加えて、雲海やご来光、満天の星空といった風景が体験できるのも、大きな魅力です。

そんな特別な体験ができるからこそ、人は北アルプスに惹かれるのだと、私は思っています。

(写真/2024年秋のHaglöfs×GRANIX mountain guide 涸沢カールトレッキングイベントのワンシーン)

(写真/2024年秋のHaglöfs×GRANIX mountain guide 涸沢カールトレッキングイベントのワンシーン/ 涸沢カールでの夜の風景)

 

<北アルプスを安全に歩くために>

 

大切なのは、しっかりとした事前準備です。

ルートの難易度や行程時間、標高差、危険箇所を地図や登山アプリで確認し、自分の体力や技術に合った計画を立てることが基本です。また、山の天気は非常に変わりやすいため、登山前日だけでなく当日の朝も、専門の山岳天気予報サイトで最新情報を確認する習慣をつけましょう。

装備にも注意が必要です。防水性とグリップ力の高い登山靴はもちろんのこと、レイヤリングによる服装管理も重要です。気温差が大きく、風や雨にさらされることもある北アルプスでは、汗冷えや低体温症を防ぐため、汗を吸って乾きやすいベースレイヤー、保温力のあるミドルレイヤー、風雨から守るアウターを重ね着で調整します。さらに、ヘルメットやヘッドランプ、行動食や水なども忘れずに持ちましょう。

行動中は、常に無理をしないことが安全登山の基本です。早めに出発し、午後の雷や天候悪化に備えて早着を心がけること。ペースは仲間と合わせ、体調の変化や疲労を見逃さないようにコミュニケーションをとることが大切です。道に迷いそうになったり、天気が急変したりした場合には、勇気を持って引き返す判断をすることも、命を守る選択肢の一つです。

また、万が一に備えて、登山届は必ず提出しましょう。紙の提出やオンライン(例:コンパスや長野県の登山ポータル)で簡単に登録できます。さらに、山岳保険への加入や、スマートフォンの予備バッテリー・衛星通信機器の携帯も、安全確保に役立ちます。

北アルプスは、確かに厳しい環境の中にありますが、その分、山頂からの絶景や高山植物の可憐な姿、森林限界を超えた雄大な景色など、他では得がたい感動が待っています。自然への敬意と準備を持って、山と真摯に向き合うことで、その魅力を安全に味わうことができるのです。

 

<レイヤリングの基本と重要性>

登山における【レイヤリング(重ね着)】は、体をドライかつ適温に保つための基本技術です。気温・天候・運動量の変化に応じてウエアを脱ぎ着し、汗冷え・低体温症・熱中症のリスクを回避しながら、安全で快適な登山行動を可能にします。

 

<レイヤリングの4構成と素材> 

ベースレイヤー(肌着)

役割

汗をすばやく吸収して拡散・蒸発させ、肌をドライに保つ

素材

メリノウール:調湿性・抗菌性・保温性に優れる

ポリエステル系化繊:速乾・軽量で通気性が高い

ホグロフスの例

夏:L.I.M Ridge Tee(リム リッジ ティー) 軽量・速乾・高通気性で盛夏でも快適

秋:L.I.M Zenith II Air Base(メンズ) 秋口〜寒冷期向け。高い通気性と保温性を兼備

 

L.I.M Ridge Tee

<まとめ>

ベースレイヤーはレイヤリングの基礎。常に汗と接するため、乾きやすく、肌に優しく、透湿性に優れた素材を選ぶことが最も重要です。綿は絶対に避けましょう。

 

②ミッドレイヤー(中間着)

役割

体温の維持と汗の蒸散補助

素材

フリース・グリッド構造フリース

アクティブインサレーション(OctaAlpha など)

ホグロフスの例

夏・秋共通:L.I.M Mid Fast II Hood(メンズ・ウィメンズ) 通気性と保温性のバランスに優れ、季節を問わず活躍

 

L.I.M Mid Fast II Hood

 

<まとめ>

ミッドレイヤーは体温調節の要。「汗を逃がしながら温める」役割。行動中の体温管理に直結するため、通気性と保温性のバランスが取れた素材が最適です。

 

シェルレイヤー(防風・防水)

役割

雨・風・雪といった外的環境から身体を保護

素材

GORE-TEXPROOF(ホグロフス独自の透湿防水素材)

ホグロフスの例

軽量モデル:L.I.M Airak GTX Jacket/Pants  GORE® C-KNIT™ バッカーテクノロジーを使用。超軽量&高透湿、夏山縦走にも最適

耐久モデル:L.I.M ZT II GTX Jacket  → 3レイヤーGORE-TEX採用。強風や積雪にも耐える秋〜冬山モデル

出発時は快晴でも山の天気は変わりやすく急な雨に遭うことも。レインの上下は必須です。

(写真は、2024年秋のHaglöfs×GRANIX mountain guide 涸沢カールトレッキングイベントのワンシーン)

<まとめ>

シェルは自然の猛威から身体を守る最前線。「外壁」のような存在。過酷な自然環境から身体を守るため、高い防水性とシェルの中の熱を外に逃す透湿性を両立した素材を選ぶことが生死を分けることもあります。

 

サーマルレイヤー(保温着)

役割

休憩時・緊急時の体温保持。動きを止めた瞬間の冷えから守る

素材

ダウン(軽量・高保温)

化繊中綿(PrimaloftMimic:濡れにも強い)

ホグロフスの例

夏:Mimic Hood → Mimic素材(化繊中綿)を使用。軽量で濡れても保温性を維持

秋:ROC Flash Down Hood(メンズ) 高品質ダウン使用で寒冷地でもしっかり保温。冬山にも対応

<まとめ>

サーマルレイヤーは「止まった時の命綱」。行動中ではなく、寒冷環境での待機・休憩・緊急時に保温するための専用レイヤーです。ザックに常備しておくことが重要です。必ず1着は携帯を。

 

季節別ホグロフス製品 まとめ表

レイヤー

夏(1030℃

秋(-520℃

ベースレイヤー

L.I.M Ridge Tee

L.I.M Zenith II Air Base

ミッドレイヤー

L.I.M Mid Fast II Hood

L.I.M Mid Fast II Hood

シェルレイヤー

L.I.M Airak GTX Jacket

L.I.M ZT II GTX Jacket Men

サーマルレイヤー

Mimic Hood

Roc Flash Down Hood

 

例:白馬村〜白馬岳(標高700m2932m 標高差2232m

<白馬村>

白馬村では、夏になると日中の気温が30℃を超える日もあり、近年は都市部と同様に蒸し暑さを感じることも増えています。その一方で、朝晩は20℃前後まで気温が下がるため、一日の中でも寒暖差が大きいのが特徴です。

秋になると気温は徐々に下がり、10月以降は朝晩が一桁になることも多くなります。服装は、暑さと冷えの両方に対応できるよう、脱ぎ着しやすい重ね着が基本です。

<白馬岳>

一方、白馬岳などの高山では、夏でも涼しく、気温は日中でも20℃前後、朝晩には一桁台になることもあります。特に風が強い稜線では体感温度がさらに低下し、真夏でも防寒装備が必要です。

秋になると気温は急激に下がり、10月には氷点下の日が続くことも珍しくなく、11月には雪や凍結のリスクが高まります。このように、標高によって気温が大きく異なるため、登山を計画する際は、行き先の標高に応じた装備と服装の準備が不可欠です。

 

 

<総まとめ>

登山においてレイヤリングは、【安全・快適な行動を支える「基本技術】です。気温差・天候変化・発汗量に対応できるよう、衣類を重ねて調整することで、汗冷え・低体温症・熱中症のリスクを減らします。

ホグロフスの製品は、軽量性・透湿性・耐久性に優れ、用途や季節に応じた最適な選択肢を提供してくれます。登山に慣れている方はもちろん、初心者にも安心なラインナップがそろっているのが魅力です。

text:荒川智

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<プロフィール>

荒川 智(あらかわ さとし)

1981年、福島県白河市生まれ。白馬を拠点にしたガイド会社「GRANIX mountain guide」代表。高校からスノーボードをはじめ、苗場でのスノーバムライフを経て、白馬へ移住。夏は登山ガイドとして白馬山域を歩き、冬は熟知した地形へお客さんを案内する。BCでよく入山する山域は、白馬八方、五竜、栂池、立山。信州登山案内人。

保有資格:日本山岳ガイド協会認定(JMGA)
・登山ガイドステージⅡ

 

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荒川ガイドが実際に北アルプスで使用しているアイテムリストです。

ぜひ、ご参照ください。

<夏>
リムリッジティー リム ミッド ファスト Ⅱ フード〔メンズ〕 リム シールド フード〔メンズ〕 ロック ライト スタンダード パンツ リム ミミック フード 〔メンズ〕 リム ゴアテックス II ジャケットパンツ〔メンズ〕 <秋> リム ゼニス Ⅱ エアー ベース〔メンズ〕 リム ミッド ファスト Ⅱ フード〔メンズ〕 モラン ソフトシェル スタンダード パンツ ロック ダウン フード〔メンズ〕 リム ゴアテックス II ジャケットパンツ〔メンズ〕

 

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